BASFは、ブラケット、ハウジング、コネクターなどの構造自動車部品向けに、最大30%のポストコンシューマーリサイクルPETを含むUltradur RC1グレードをエンジニアリングプラスチックポートフォリオに追加した。狙いは、リサイクル含有率を高めつつ、ガラス繊維強化エンジニアリングプラスチックに求められる剛性、強度、寸法安定性、加工性を維持することにある。
材料変更は明確だ。Ultradur RC1は、ポストコンシューマー包装廃棄物由来のリサイクルPETをPBT/PETコンパウンドと組み合わせ、用途に応じて異なるレベルのガラス繊維で強化する。BASFは、従来のバージン材グレードにできるだけ近づけるよう開発したと述べる。これは車両サプライヤーにとって適切な目標だ。部品が新金型や新加工条件、下方修正された機械的仕様を必要とするなら、リサイクル含有率の主張に価値はない。
RC1の原料
BASFによると、リサイクルPETはボトルtoボトルのリサイクルルートと競合しないポストコンシューマー包装廃棄物由来だ。同社は、この原料をエネルギー回収に回されやすい材料と位置づける。この調達選択によりRC1は明確なサーキュラリティの主張を持つ。
原料は品質管理の最初の課題も生む。包装廃棄物は単一の樹脂ロットではない。汚染プロファイルや熱履歴を制御しなければならない。BASFのコンパウンド配合はそのギャップを埋める狙いだが、発表には生産ロットばらつきや汚染限度、自動車検証データは示されていない。
車両部品仕様
RC1はブラケット、ハウジング、構造部品、コネクター向けに位置づけられる。BASFは強度、剛性、寸法安定性を維持する性能を挙げ、複数の強化レベルで提供する。
| RC1ポートフォリオ指標 | 報告値 |
|---|---|
| ポストコンシューマーリサイクルPET含有率 | 最大30% |
| 強化オプション | 複数レベル |
30%はポートフォリオ全体の最大値で、すべてのグレードや部品がその含有率を持つわけではない。
適合性ゲート
プロセッサーやTierサプライヤーにとっての実務的問いは、リサイクルPETが入っているかどうかではなく、既存部品仕様をパスしてリスクを下流に押し付けないかどうかだ。
BASFはRC1に関するOEM受注や量産車種を名指ししていない。グレードはFakuma 2026で展示予定で、2026年11月19日にウェビナーを計画している。
コンプライアンスの主張
BASFはRC1をScope 3.1排出量低減およびプラスチック部品のリサイクル含有率要件の変化と結びつける。トレーサビリティが鍵となる。
編集部の見解
- RC1グレードはリサイクル含有率だけで承認されるのか
- 否。まずは正確なグレード、ガラス繊維含有率、部品仕様を基に、同じ金型と成形条件で既存材と直接比較する。寸法、ウェルドライン、吸湿挙動、衝撃値、熱老化、疲労、長期荷重保持をすべて確認せよ。30%はポートフォリオ上限で、すべての配合や部品が到達する保証ではない。メルトフローと引張強度が一致しても、ブラケットやコネクタで異方性収縮や寸法ずれにより不合格になるケースがある。
- PCR表示を生産属性として扱う前に調達が揃えるべき資料は何か
- 納入グレードごとのCoAとトレーサビリティ記録を要求せよ。算出されたPCR比率、原料定義、ロット管理が明記されていること。部品承認書やBOMに紐付け、ポートフォリオ資料を根拠にしない。包装廃棄物由来の汚染やポリマー混合の管理方法も確認する。30%表示を鵜呑みにし、実際の生産グレードや強化レベル、マスバランス根拠が未特定のまま進める失敗が典型的だ。
- 構造部品の成形を切り替える前に、加工者はどう試験を進めるべきか
- 最初は金型、成形条件、測定方法を固定し、RC1と既存バージン材を比較する。材料差が確認できてから成形条件を変更する。部品に必要な強化レベルで試験せよ。ガラス繊維は剛性、収縮、異方性を変える。所定の調湿状態で寸法を記録し、ウェルドラインと疲労特性を検査する。金型や乾燥の問題をリサイクル原料のばらつきと誤認しないためだ。
- RC1の資格取得で最初に狙うべき部品はどれか
- 剛性、強度、寸法限界が仕様で明記され、既存グレードと成形窓が記録済みのブラケット、ハウジング、コネクタから始める。荷重経路に合わせて強化レベルを選び、1つのRC1配合を全プログラムに適用しない。ハウジングの成功をそのまま承認にしない。薄肉ブラケットでは反り、ウェルドライン弱化、疲労低下が現れる場合がある。
- 今回の発表でサプライヤーは量産について何を主張できるか
- 主張は「候補材の選定とエンジニアリング検証プログラム」に留める。公開ポートフォリオや適用事例はOEM受注、量産管理計画、工場能力を証明しない。リリース前に乾燥、成形条件、ロット受入検査、寸法検査、変更管理の責任者を定め、顧客から部品ごとの承認を得る。残るリスクは成形可否ではなく、ロット間の一貫性が顧客の全検証と生産監査を通るかどうかだ。
出典・参考文献
- 1.BASF. (2026, September). BASF expands Ultradur portfolio with new recycled-content PBT/PET compounds. BASF.
- 2.Automotive World. (2026, October 10). BASF Ultradur RC1 brings 30% recycled PET to vehicle parts. Automotive World.
- 3.ICN Bureau. (2026, October 9). BASF expands Ultradur portfolio with new recycled-content PBT/PET compounds. Indian Chemical News.
- 4.Recycling Magazine. BASF Ultradur RC1 containing 30% post-consumer recycled material. Recycling Magazine.
- 5.Plasticker. F26. Plasticker.
- 6.Plastech. Circular economy. Plastech.
- 7.MarkLines. BASF Ultradur RC1. MarkLines.
- 8.Zacks. BASF expands Ultradur portfolio with recycled PET grades. TradingView.
- 9.BASF Plastics & Rubber. Ultradur RC1. BASF Plastics & Rubber.
- 10.Plastics News. LG Chem and Volkswagen use recycled plastics in vehicles. Plastics News.
